このエッセイは2000年のイタリア旅行を元に書いたものです。

サルーテ・イタリア

――イタリアに、乾杯――

朝日で目覚めて窓を開けば、冷たい空気がそっと頬をなでる。
レトロな自動車がごちゃごちゃに路上駐車された路地の両側には、数百年の時が刻まれた石造りの民家が並ぶ。
ここは永遠の都・ローマ。
雑踏の中に、思い掛けないものが紛れている町。

外を歩けば、そこは別世界。駆け抜けた時代の足跡が、ひしひしと感じられます。
小さなバールで、クロワッサンとカプチーノをつまみながら賑やかにお喋りするローマっ子たち。
彼らは朝の仕事を終えると、昼にはまたこんな調子。
だからお昼時に流しのタクシーなんて、よほど運がないと拾えません。
朝日と共に目覚め、夕日と共に眠る。
マイペースで、憩いの時間を忘れない人たちが棲む町。

ローマ最大の闘技場・コロッセオ。
この場所でかつて戦った、幾多の剣闘士たち。
ここに染み込んだ彼らの血と涙が、知りもしないはずの"戦いの場"へ誘(いざな)ってくれます。
目を閉じれば、一瞬の静寂の後…重々しい空気と、観客の雄叫びと、剣を交える鋭い音が聞えてくるような気が…
歴史の彼方に引き戻されるような、不思議な気持ちになれる場所です。

トレヴィの泉はバロック彫刻に飾られた、豪華な池。
コインを後ろ手に投げ入れれば、もう一度ローマへ来ることが出来るといわれています。
でも、イタリアのコインを投げてしまうのは少し勿体無いと思う方、五円玉などで間に合わせてしまいましょう。
大丈夫。ローマへ返って来たい気持ちを託すコインに、国境なんてありません。
そういえば一年に一度、彫刻のお掃除とコインの回収のために泉が枯れるのはご存知でしょうか。

スペイン広場は、十七世紀にスペイン大使館がここにあった事から、その名が付けられました。
映画「ローマの休日」で、オードリー・ヘプバーンがジェラートを食べたシーンが有名ですね。 でも今のスペイン広場は飲食禁止になってるのでうっかり映画の真似をしないよう、気をつけましょう。

スペイン広場に行く方、よかったら階段を上ってみてください。
上りきると、そこにはトリニタ・デイ・モンティ教会の双つの鐘楼が。フランス国王ルイ十二世の命で、建てられました。

そして、そこで振り返ればローマを一望する事が出来ます。
サンタジェロ城とサン・ピエトロ寺院の白い丸屋根、遠くに連なる山並み。
ここは、時を越えた都市・ローマ。"永遠の都"の名が最も相応しい町。

世界一小さな国、バチカン市国。ここはキリスト教・カトリックの総本山。
白い丸屋根が印象的なサン・ピエトロ寺院と、その両側を飾る芸術的な彫刻作品の数々。その美しさは、宗教を越えて世界中の人々に感動を呼んでいます。

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