架空問答 実家篇

世の中興奮することは一杯あるが、やはり一番興奮するのは実家の話題で間違いない

原田「…で?これ何の集まりよ?」 沖田「何だか中途半端な顔ぶれですねー。一体、何が始まるんですー?山南さん」 山南「今日は士分の出による座談だそうだよ。脱藩浪人とはいえ、ここにいる我々にはそれぞれ御家がある。この機会に改めて肝胆相照らそうと云う訳だね」 永倉「つまりは、家の話しか…。気乗りしないな」 沖田「えー?面白そうじゃないですかー?ねぇ、斎藤さん」 斎藤「可能な範囲なら、答えよう…」 井上「まぁまぁ。お茶でも飲みながら、ゆっくり話しませんか」 山南「いただきます。…では、まずは出身の藩からいきましょうか。私は奥州伊達家・仙台藩です」 沖田「私は奥州阿部家・白河藩ですねー。まぁ、実際は江戸生まれで、家督を継いだのも林太郎兄上なんですけどー」 井上「代々、八王子千人同心です。私も、家を継いだのは兄なんですが」 原田「俺は久松松平家・伊予松山藩だぜ。わかる?金比羅船船〜追手に帆かけて〜シュラシュシュシュ♪のとこ」 永倉「俺は蝦夷松前家・松前藩の江戸定府。“江戸詰”と違って参勤交代しない“江戸藩邸の常勤”だな」 斎藤「播州は越前松平家・明石藩。父の代まで」 山南「次は役職です。我が家は、若年寄配下の剣術者指南役でした」 沖田「たしか、足軽小頭…だったかなー」 井上「組頭です」 原田「中間。わかる?要は雑用なんだけど、脇差一本差せて、いざって時は戦に出れんだよ」 永倉「定府取次役。文字通り、御重役に御目通りや進物を取次ぐ御役目だったな」 斎藤「足軽…からの※禁則事項ですからの幕臣」 山南「皆、出揃ったようだね」 永倉「…え?役方(※文官)の家、俺だけか?こうも番方(※武官)ばかりとは思わなかったな」 沖田「うわ!本当ですねー。意外だなー。永倉さんが偉いお客の案内したり、式典を仕切ったりする所なんて想像出来ないや」 永倉「だろう?俺もそう思う」 沖田「ですよねー。…で、山南さんはまた“そのまま”って感じですねー」 原田「そーか?山南さんこそ、役方がお似合いなんじゃねーの?」 永倉「あー…。もし、うちが山南さんの役職だったら脱藩する必要なかったかな」 山南「えっ?」 永倉「…えっ?」 原田「ま。俺は奉公人だから、どっちでもねーけどな」 山南「しかし、中間にも手柄を立てて一代限りの士分に取り立てられた者もいます。原田さんが呼ばれたのはそういった理由でしょう」 原田「あ、そーなの?でも、いーや。新選組(こっち)の方が手柄認められるの早ぇもんよ」 沖田「それより、斎藤さーん。さっきからダンマリしてないで、何か喋りましょうよー」 原田「そーそー!お前が自分の話ししてるとこ、滅多に見ねーから楽しみだわー♪」 山南「私も興味があります。足軽から幕臣に出世する間に何があったのか、是非聞かせてくれないかな」 永倉「…とまぁこう云う流れだが、無理はするな」 斎藤「うちは代々※禁則事項ですで、※禁則事項です※禁則事項ですにいた所を※禁則事項ですから※禁則事項ですと命じられて※禁則事項ですしたようです。元々は※禁則事項です※禁則事項ですで、俺も※禁則事項ですを引き継いでいる身です」 一同「……」 井上「…斎藤君。ちょっと何言ってるのかわからないです」 ※幕府→明石藩→幕府→水戸藩→会津藩→明治政府…と三番組長の"密偵"遍歴および雇い主が謎過ぎる件 藤堂「…私、呼ばれませんでした。伊勢・津藩主は藤堂和泉守の御落胤なのに。“自称”ですけど…。えぇ。“自称”ですけど…」