(ドンドン) 杉村「どなたかな?」 土方「久しぶりだな。まだ戦がし足りなくて、地獄から戻って来ちまったぜ。大陸で打撃を与えたとはいえ、露西亞の南下は止まっていない。今こそ、日本の盾となるべく、俺たちが蝦夷共和国を復か——」 (ピシャ!カチャ) 土方「おい!人の話しの途中で、いきなり閉めるか、普通!?露骨に鍵まで閉めるか、普通!?」 杉村「いきなり訪ねて来て、いきなり何の押し売りですか?帰って下さい」 土方「開けろ!俺だ、俺!」 杉村「『俺』などと云う者に心当たりはありませんな。詐欺なら間に合ってます」 土方「誰が詐欺だ!?俺がわからねぇほど耄碌したか!?新選組副長・土方歳三だ!」 杉村「お静かに。近所に通報されますよ?と云うか、通報しますよ?」 土方「はん!やれるものなら、やってみろ。まぁ、最も。昔の同志を官憲に売るような真似が、お前さんに出来る訳がねぇが…」 杉村「おーい。伝次君。非番に悪いが、玄関先の不審者、しょっぴいてくれんか?」 土方「な…っ!?お前の息子、警官か!?斎藤か!?」 杉村「奴も今は退職して、女学校の警護だそうですよ。島田(※故人)に聞きました」 土方「わざわざ島田伝手とか、仲良いなお前ら…」 杉村「余計なお世話ですよ」 土方「まぁ、聞け。この北の果てまで流れ着くのは、前科者か一攫千金狙いかだ。お前も男なら、老いて尚もう一勝負してみたいだろ?」 杉村「人を罪人か香具師呼ばわりせんで下さい。我らの汚名はとうにすすぎました。此処におるのは、ただの隠居です。お引き取りを」 土方「はん!あの『ガム新』が枯れたもんだ。人間、所帯を持つとつまらなくなるのは本当らしいな。独り身で正解だったぜ」 杉村「『ガム新』って言うな」 土方「おいおい。還暦過ぎてまだ昔の渾名を気にしてんのか?小せぇ男だな」 杉村「誰が、豆粒弩チビですか!?」 土方「言ってねぇ!それ、違う作品だぞ!」 … 伝次「…なぁ、ゆき。お義父さん、止めなくていいのか?」※娘婿 ゆき「どぉして、伝次さん?あんなに楽しそうなお父さん、久しぶりに見たわぁ。お客様のお茶、持って来てあげないと」※養女 土方「何だ?お前さんと違って、話がわかるいい娘じゃないか」 杉村「ゆき。茶はいらないから、奥に行ってなさい」 ゆき「でも、お父さんの昔のお友達なんでしょう?」 杉村「そう簡単に人を信じたらいかん。…まぁ、それがお前の良い所だが」 土方「親馬鹿www」 杉村「いつまで、人の家の玄関先にいるつもりですか?帰って来るのはウル●ラマンだけで充分です」 土方「だから!それも、違う作品だぞ!」 ※『ドキッ!変態だらけの黄金争奪戦』が始まりません(違)…ちな戦艦ドレッドノート=弩級戦艦は1906年竣工