原案/万葉集

待ち人の歌、防人の歌

―遥けしや、あづまはや、(とぶら)いの(とぶひ)を―

この世のものとは思えない美しい黄昏に空が染まっていきます。そんな時にふと現れた貴方はどなたですか?

たとえあの世に居ても、境界線を越えて、貴方の為ならば私はいつでもこの世に戻って来ます

あの匂いを思い出す度に、愛しいあの人の面影が浮かびます

「これは幻なの?」と君は言った。でも、手で触れられなくとも、心は触れ合える

貴方が居なくなって、何年経ったでしょう。着物を洗う水にも貴方の面影を見てしまい、未だに忘れられません

季節ごとに花は咲くのに「私」という花は咲かない。花となって貴方を慰める事は出来ないのだろうか

止まない雨のように、涙が溢れています。天に昇ってしまった貴方を恋しく想うからです

この雷鳴が私の嘆く声ならば、この曇った空は私の心そのものなのかもしれない

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